お問い合わせはお電話でお気軽にどうぞ
TEL: 011-682-8933 10:00〜17:00 (JST)

講義レポート

HOME | 講義レポート

REPORT

最新講義レポート

究極の花園で花を観賞する目を養う

植物学部 オホーツクキャンパス 「高橋武市教授」第1回講義レポート

2022年10月13日(木)〜10月16日(日)

 第1日(10/13)

入学式・
オリエンテーション

林学長(創設者)自らが、入学のお礼と改めて本学のコンセプトの説明、講義のオリエンテーションを行いました。

 

明日からの未知の体験に、気持ちもワクワク。

 第2日(10/14)

さあ高橋教授の講義がスタートです

いよいよこれから4日間にわたる講義のはじまりです。受講生は皆さん真剣な表情で高橋武市教授のお話に耳を傾けています。

 

陽殖園を歩きながら高橋教授の講義が続きます。

広い園内を高橋武市教授とゆっくり歩きながら、講義が進行していきます。花や樹木の話から人生哲学まで、実に幅広い高橋物語りです。

動物学部講師湊謙一

 第3日(10/15)

少し足を延ばしてフレグランス体験

滝上はミント生産日本一の町でもあります。広大な敷地内に約300種類のハーブを含む草花が植えられている「香りの里ハーブガーデン」も訪ねます。

 

夜は高橋教授を囲んで夕食会

宿泊のホテル渓谷にて、高橋教授を囲んでの夕食会が開かれました。この雑談の中にも貴重なお宝のお話しがたくさんありました。

 第4日(10/16)

最終日の特別講義

早朝からの最後の講義です。天候にも恵まれ充実した時間を過ごしました。

 

VOICE

受講生の声

S.Sさん / 北海道在住

「生きるとは何か」がここにある。
 約8万平方メートルの山を60年以上に渡り木や花を植え続け、今では全国各地から1度ならず、10回、20回、多い人で30回以上通うという他に類を見ない庭園を作り上げた「陽殖園」の高橋武市さんにお会いし特別授業を受けてきた。
 この出会いが実現したのは、札幌市の旅行会社HKワークスが企画する「HK大学」に受講生として参加したからだ。HK大学は、全道各地で活動する達人に会いに行き、仕事の流儀や技に止まらず、数々の失敗や苦難をどう乗り越えたのか等、達人から直々に先駆者としての姿勢を学ぶ旅を提供している。
 中卒の高橋さんは言う。「学問は誰かの受け売りだ。自分の頭で考えて身体を惜しみなく使えば、お金が無くても知恵が出る。失敗を糧にせよ。要はさ、楽しんで生きていけりゃいいのよ」その言葉の一つ一つが胸に刺さった。発せられる言葉は言霊となり心を揺さぶられる。その根拠は60年かけてたった1人で作り上げた庭園が静かに物語る。
 圧倒された。こんな生き方があるなんて。池の側に腰掛けてじっと揺れる木々の葉を見つめる。そうか!そうだったんだ!僕らは結果を急ぐあまり、手間や時間を極力掛けずにやってしまう。だが、高橋さんは逆を行く。じっくり時間をかけて、それぞれの植物の成長を見極め育み、太陽の力で殖えさせる。だから陽殖園なんだ!
 それはまるで兎と亀の様に、一見周回遅れにさえ見える庭作りが、いつの間にか誰も真似できない最先端の庭になり、こうした絶え間ない成長を続ける高橋武市という人間に人は惹きつけられるのだ。
 「またいらっしゃい。」と高橋さん。次はまた違う季節に来てみたい。そう強く強く思った授業だった。(途中省略)

Y.Aさん / 北海道在住

まず驚かされるのは、8haの山林を60年程かけ、たった一人でほとんど重機を使わずに、この花園をつくりあげたとのことでした。なぜ一人でここまで出来たのか?この土地を離れる考えが無かったので、ここまで続ける事が出来と話されていました。
 武市(ぶいち)さんは長男だったそうです。子供の頃、水道などは勿論無かったので、 夏も冬も、朝2時や3時に起きて離れた井戸から水汲みをし、その後、学校に行く前に街まで行商に行ったとのことでした。行商に野菜等を売りに行っていたのですが、 ある時、花も一緒に持って行ったとき、花が野菜より高く売れ、その時のことがきっかけで、花栽培もする様になったそうです。 「今考えると、子供が行商しているのが可哀想で、花を買ってくれたのかなー?」とのことでした。この花栽培が、陽殖園に繋がって行く事になります。  中学生の頃、多くのウサギを飼育していて、肉は食用に、毛皮は防寒用に売れたそうです。かなり儲かり、それを元手にサボテン栽培を開始。サボテンは農業専門誌に載っているのを見て、その頃はまだサボテンが一般的では無かったので、珍しさも手伝い売れたそうです。生い立ちの話はこれ位にしましょう。
 翌朝8:30から武市さん案内による陽殖園での現地研修。オホーツク地区でしかも10月中旬なのに花が咲いているのに、まず驚かされる。春や夏はもっと花が沢山の咲いている事が想像できる。武市さんの案内は単に花木の説明に留まらず、人生哲学に通じます。
 私は当初、少しオーバーに話をしているのだろうと思っていました。例えば園内の通路は総延長が5km程あるのだが、沢を埋め立てるのにスコップと一輪車で5年程かけて行なったとの事。現地へ行って話を聴くと、かなりの高低差があった様だ。沢に橋を架けるとお金も掛かる。それに年月が経てば補修もしなければならず、掛け替えも検討しなければならない。だが埋め立てをすれば補修や架け替えの必要も無い。オーバーどころか、まったくごもっともなお話しであると思った。時間は掛かったがここに一生居ると決めていたので、時間は問題では無かったと。すぐ成果を求めず、ぶれずに続けることだと。時間のスケールが違う。なるべく早く成果を出そうとしている現在、あらためて考えさせられる。
 陽殖園は山の中を切り拓いて花園にしているのですが、その山の中に小さな山を二つ、勿論人力で造ったのです。当初父親には「山の中に山を造る奴が何処にいる」と言われたそうですが、出来てみると「なかなか良い」と言われた話を、嬉しそうに話していたのが、印象に残りました。その小さな山は現在「エリカの山」と呼ばれています。
 そのほか、白樺の樹皮の白さの違い。花の色の違いへのこだわり。正しく育った苗木と、不良だった苗木を植えて30年程経ってからの話。園の説明に2時間程掛るので、時間が取れない団体客は断わっている事。汽車の中に広告を出した時よりも、地方新聞に2行程載った方が効果があった事。などなど、どの話も人生哲学に通ずるものがあります。
 花や木を見る今迄の花園を想像していた。道外からこの花園を見るだけに、年5回も訪れる人がいると聞いて、驚ろかされるが、このストレスの多い世の中、武市さんの話を聞き、静かで自然みのある花園を見て、人生を見つめなおすきっかけになるのかもしれない。
 また、別の季節に訪れて、武市さんのちょっと泥臭い人生哲学の話を聞きに行こうと思う。(途中省略)